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上昇するかを明らかにして、この方法が中年者に適用できるテストか否かを検討することを目的としている。そして中年女性のVo2@75%HRmaxを、すでに報告している20歳代女性の値5)と比較した。

研究方法

被検者は年齢39.54歳(平均年齢46.5±1.0歳)の女性23名であった。身長・体重の平均値±標準偏差はそれぞれ155.6±7.1cm,57,6±1.5kgであった。また、超音波Bモード法(アロカ社エコーカメラSSD500)を用いて撮影した臍部2cm右部位の皮下脂肪厚は31.2±1.9mmであった。年齢別被検者の内訳は、30歳代4名、40歳代12名、50歳代7名であった。このうち1名は社交ダンスを継続的に実施しているが、他は運動習慣を持たなかった。被検者はいずれも、心電図、血圧、血液性状、胸部レントゲン等の検査を行って、異常所見の認められなかった女性とした。実験に先立ち、実験の内容とそれに伴う危険性を十分説明して、被検者となることの同意を文書で得た。なお、比較のためにすでに報告している20歳代女性16名の値5)を用いた。
実験は、室温22℃、相対湿度60%に設定した実験室内で行った。被検者は椅座位安静を保った後、トレッドミル上で1分間立位姿勢で歩行準備を行った。運動は水平のトレッドミル上で60m・min-1,の速度の歩行を1分間、その後1分の間に速度を80m・min-1,傾斜を1%に増加した。その後は速度を80m・min-1,に固定したまま、コンピュータ制御により、傾斜を1%・min-1の割合でランプ状に漸増した。そして、心拍数が予測最大心拍数(220一年齢)の75%を超えた時、運動を中止した。実験は医師の管理下で行った。運動中は心拍数を連続的に記録し、Vo2は10秒ごとのmixingchamber法で測定した(質量分析計、PerkinElmer社製MGA1100、呼気ガス代謝装置ミナト医科学社製RM300)。運動中の血圧は運動負荷用血圧監視装置(日本コーリン社製STBP.680)を用いて、心拍数が75%HRmaxに達した時点の血圧(BP@75%HRmax)を測定した。

 

Vo2@75%HRmaxの算出は前報5)と同様、運動中のVo2−HR関係式を求めて、予測最大心拍数(220一年齢)の75%(75%HRmax)に相当するVo2(Vo2@75%HRmax)を求めた。
年齢による各パラメータの変化を明らかにするため中年女性23名を30,40,50歳代の3群に分け、繰り返しのない一元配置分散分析法を用いて群間の差の検定を行った。群間の差が有意であった場合は、Scheffeの事後検定を用いて、どの群間に差があるかを調べた。また、申年女性全体と若年女性の値の比較は対応のないt−testを使用した。有意水準はP<0.05とした。なお、各パラメータの群の値は、特に記載のある場合を除き、平均値±標準誤差で示した。

 

研究結果

運動中は心電図と血圧を医師が監視したが、それらに運動禁忌所見が認められた者はいなかった。また本人の意志で運動を中止した例もなく、23名の被検者のすべてが、心拍数が予測最大心拍数の75%に達する強度(傾斜)まで運動を継続することが可能であった。
HRmaxの75%に達したときの収縮期血圧(SBP)は、180mmHg以上が2名、160,179mmHgが6名、140−159mmHgが8名、139mmHg以下が7名であった。被検者23名の安静時血圧の平均値は132.3±2.7mmHg(SBP)、84.2±2.2mmHg(拡張期血圧1DBP)であったが、75%HRmax時のSBP(SBP@75%HRmax)は153.9±3.9mmHgに上昇した。しかし、DBPは81.5±2.7mmHgで変化が見られなかった。中年女性を3群に分けて血圧を比較すると図ユのようになった。SBP@75%HRmaxはどの群でも有意な上昇を示した。しかし、群間には安静時および運動中とも有意差は見られなかった。DBPは30,40歳群ではむしろ低下傾向を示したのに対して、50歳代では増加する傾向を示した。しかし、群問および安静時とDBP@75%HRmaxとの間にはいずれも有意差は見られなかった。SBPとDBPから算出した75%HRmax発現時点の平均血圧(MBP)は、30,40歳代ではやや低

 

 

 

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